【体験談】南米在住者が南米の治安について語る:コロンビア共和国

当記事では、南米コロンビア共和国に8年以上住む私の実際の体験談を交えて、
「コロンビアを含める、南米の治安は実際のところどうなのか?」
というテーマを取り上げます。
まずはじめに、海外旅行を計画しているのであれば、必ず 外務省 海外安全ホームページ を確認しておきましょう。
これは南米旅行者に限ったことではありません。
日本国外に行かれる方、全員です。
そして渡航前にはたびレジ(3ヶ月未満の渡航)またはオンライン在留届(3ヶ月以上の渡航)に登録します。
渡航先の安全情報をいち早くメールで受け取れる上に、緊急事態発生時には大変重要な役割を果たします。
上述の「外務省 海外安全ホームページ」を見て頂くと分かりますように、私が在住する南米のコロンビア共和国は日本外務省により、以下の通り危険レベルを指定されています:
- レベル1 十分注意してください。
- レベル2 不要不急の渡航は止めてください。
- レベル3 渡航は止めてください。(渡航中止勧告)
の全3色で覆われています。(最高「危険レベル」はレベル4の避難勧告)
↓南米諸国の位置の確認はこちらの記事でどうぞ:
併せて、世界的に認知されている国別安全度ランキングは次の通りです:
南米で安全な国ベスト3:チリ、ウルグアイ、アルゼンチン
南米で危険な国ベスト3:ベネズエラ、コロンビア、ガイアナ
中でもパタゴニアのトレッキングでも人気のあるチリは、「世界の安全な国々」のリストにもランクインする程安全だという評価を得ています。
打って変わって、私が在住するコロンビアは、世界的にもまだまだ危険な国家という位置づけです。
ということは、コロンビア国内はどこに行っても危険に満ち溢れていて、絶対に旅行するべきではないということなのか?
在住者の私の実体験をご紹介することで、読者のみなさまご自身の判断材料がひとつ増えれば幸いです。
◆目次【本記事の内容】
まずはじめに
以下に続く記事内容は、私がコロンビア共和国に8年以上住んで来て、私の身に起きた危険だったことの一覧になっています。
つまり、コロンビア共和国がどんなに素敵で魅力に溢れた場所なのか、という内容はありません。
ここで明言しておきたいのは、コロンビア共和国と、ここに住む人々を批判するためにこの記事を書いている訳では一切ない、ということです。
私は、コロンビアに自らの意志で住み続けています。
当記事を読んでいただき、コロンビアを危険な国だと判断するかどうかは、言うまでもなく120%読者の方々の自由です。
私はコロンビアで、それまで旅をして来て遭遇することのなかった実に美しい世界に出会いました。
だからと言って、
みなさまに「コロンビアに来るべきだよ」とおススメしたい訳ではないし、
逆に危険な目に合った体験談をシェアすることで
「危険だから来ない方が良いよ」というメッセージを発信している訳でもありません。
私が当記事を公開する唯一の目的は、これからコロンビアを含める南米諸国を訪れようと思っている方々の、判断材料として参考にして頂きたい、それまでです。
また併せて、私の生活環境が一風変わっていることもお伝えしておきます。
コロンビア国内では、外国籍を持つ9割以上の人間は大都市に住んでいます。
首都のボコタ、カリ、メデジンなどです。
私は、郊外に住む数少ない外国人の一人です。
例えば首都のボコタ北部ですと、富裕層だけの地域なので、まるで先進国のような安全が保障されています。
打って変わって南部はスラム街です。
コロンビアの富裕層の家庭の子供たちが、国内の本当の貧困や危険さを知らないで育つことは良くあります。
自分たちが育ったエリアしか知らないためです。
彼らに「コロンビアって危ないの?」と聞いても(恐らく若干気分を害して)「危なくない」と返事が来るだけです。
富裕世帯に住む外国籍の人たちに聞いても同じことです。
また、コロンビアでは、田舎に行くと都市とは異なる危険さがあります。
観光客がおそらく足を踏み入れたことがないような田舎です。
私はそういう田舎の姿も見て来ました。
私がここで公開している経験談は、そういう意味で、一般の外国籍の人間よりもさらにコロンビア国民化した生活をしている人間の経験談であることを念頭に置いて読み進めて下さい。(ちなみに外見からもあまり外国人だということに気づかれないことが大半ですので、それもまた変わった経験をしている一因になっています。)
南米コロンビアの治安①:銃声
南米ではクリスマスや年末年始のお祭りごと(スペイン語でフィエスタと呼びます)や、サッカーの重要な試合がある時期になると、国全体が盛り上がります。
誰もが肌で感じることができる程、人々も地域も、空気がガラっと変わります。
南米の人々は日本の国民性とは異なり、感情を表に出すことに関してあまり抵抗を持ちません。
そのため「盛り上がる・テンションが上がる」=「感情が高ぶり、感情が全面に現れる」という傾向があります。
この国民性が南米諸国を陽気で開放的な、魅力あふれる地にしています。
しかしその反面、いざこざがあると、瞬時に大きな喧嘩に発展することが少なくありません。
大イベントがあると、必ずと言って良いほどお酒が入るため(多くは薬物も)トラブルが多発します。
銃の発砲も多発します。
いざこざが原因の銃の使用以外にも、単に「空に向けて発砲する=お祝いをしている」というメンタリティーによる銃の使用も存在します。
日本では想像し難い考え方です。
空に向けた発砲の流れ弾による死者は、コロンビア国内で毎年100人を超えます。
悲しいことに半数近くの犠牲者は、未成年者です。(情報元(スペイン語))
特に年末年始は事故やトラブルによる負傷者や死者が数千件発生し、病院の緊急窓口が異常に込み合うようすが例年ニュースで流れます。
私が数度耳にした銃声も年末イベントの騒音に交えたものでした。
ちなみに後日、警察に何事だったのかと聞いても、事件の発生件数が多すぎて正確な情報を得るのはほぼ不可能です。
南米コロンビアの治安②:マチェーテ(なた)を使って喧嘩
ある暑い日の日暮れ時、子供たちと友人家族と村の中心部を歩いていたときのこと。
突然どこからか、中年くらいの男性がマチェーテ(なた:上記写真に写る、農作に使われる刃物)を振り回しながらバイクに乗って現れました。
何か大声で叫んでいます。
血の気が引くのを感じながら、友だちに目で状況説明と助けを求める私…
さすが地元コロンビア人。
彼女は全く動じない様子で私の長男の手をひき、「急いで!こっち!」と指示。
言われるままに彼女の後にピッタリくっついて、大至急その場を離れました。
友人いわく、私たちの目の前にあった店舗の男性オーナーに喧嘩を売りに来たようだとのこと。
私はパニックでその場を立ち去ることで精一杯だったのに、そこまで瞬時に視察していたとは、やはりさすがコロンビア人…
南米に到着したばかりの頃、知人のコロンビア人男性に
「コロンビア人は多くの危険と至難を乗り越えて生きて来た歴史を持っているから、
世界のどの国民よりも危険察知能力と対処能力が高いんだ。」
と聞かされたことがあります。
世界一なのかどうかは別として、ここに住み着いて以来、確かにコロンビア人のその能力を垣間見て来ました。
平和ボケしている、と言われる日本人とは実に対照的です。
その後、彼らがどうなったのかは知りません。
私たちが急いで現場から離れている最中にも野次馬たちが寄って来ていました。
そう言えば私がインドでバックパッカーをしていたときにも、トラブルがある度に野次馬たちに一瞬で囲まれて、「良くもこんな猛スピードで大量の人が集まれるものだな…」と逆に感心したのを思い出しました。
本件に関しては、村の人たちによると、不倫や金銭問題で男性たちがもめると、良くある光景だということです…