【1日でできる自由研究】動画:小学校低学年ができる簡単な実験

今日は家にあるものを使って、簡単で楽しい(そして科学的説明が深い)実験を行ってみましょう♪
小学校低学年でもできますし、小学校中学年以上であれば、当記事で紹介しているバリエーションを試すことで当実験の幅を広げることができます。
北アメリカの小学校ですと、「ダンシング・レーズン(踊るレーズン)」はかなり一般的に行われている実験ですが、日本ではまだあまり人気を集めていないようです。
この機会に是非、チャレンジしてみて下さい。
♦目次【本記事の内容】
子供と楽しむ面白い自由研究:炭酸を使ってレーズンを踊らせよう♪
実験結果の公開動画
まずは、実験結果の動画をご覧ください:
※携帯電話をご使用の方は、画面を縦方向にしたまま全画面表示(フルスクリーン)をご使用下さい。
いかがでしょうか。
とてもシンプルな実験なのですが、長男はレーズンが浮き沈みし続ける「ミステリアス」な現象を、手品を見るかのように釘付けで観察していました♪
用意するもの
- 炭酸水(または透明な炭酸飲料)
- グラス
- レーズン(7・8粒)
下準備
- 実験を開始する前に、子供に実験過程 / 結果を推測させる。レーズンは沈むのか?浮くのか?それとも全く別の動きを見せるのか?
当実験に限らず、実験を行う前に結果を想定することは大事なステップです。お子さまの考える力が伸びるだけでなく、実験の内容がより長く鮮明に記憶に残ります。将来、科学の世界を追求するには欠かせない姿勢でもあります。
手順
- グラスに炭酸水を注ぐ。
- レーズンをグラスに加える。
- 実験過程、および結果を観察し、文章や絵を使って記録を残す。
「どうしてレーズンは踊ったの?」
「炭酸水の代わりに水道水にレーズンを入れたら、どうなるんだろう?」
沈みますよね?
沈みっぱなしです。
浮き上がって来ることはありません。
「とすると、炭酸水は何が特別なんだろう?」
炭酸水や炭酸飲料は、水に高圧力をかけて炭酸ガス、つまり二酸化炭素を力ずくで水に溶かして作られています。
炭酸飲料のキャップを開けると、シュワーッと音が鳴るのはそのためですね。
この二酸化炭素の泡が、当実験では重要な役割を果たしています。
ここで少々脱線なのですが、炭酸飲料のキャップを開けたときに、そもそもどこから泡が出て来るのか、炭酸飲料の瓶をじっくりと見たことはありますでしょうか。
炭酸の泡は常に瓶やグラスの底や側面から発生しています。
ドリンクの真ん中から泡が出て来ることはほぼありません。
これは炭酸水に閉じ込められた二酸化炭素の分子が水中にバラバラに散らばっているうちは、なかなか炭酸水から抜け出せない事実と関係しています。
液体中の二酸化炭素の分子は、分子同士がくっついて泡の状態になってはじめて、水中から抜け出すことができるのです。
では何がきっかけになって、分子同士がくっつき始めるのでしょうか。
私たちの目には滑らかに見えても、瓶やグラスの底や側面には微小レベルでは無数の傷やデコボコが存在します。
この傷やデコボコには、すでに小さな二酸化炭素の泡が隠れています。
その隠れた小さな泡に水中の二酸化炭素の分子が衝突し結合すると、泡が成長して大きくなり、泡の一部が離れて水面に上昇しはじめます。
私たちが目で確認できる炭酸の泡の発生です。
炭酸水をよく観察すると、泡が水面に近づくに従って大きくなっていくのが見えますが、それは泡が上昇する過程で水中の分子が泡に集まって来るためです。
※炭酸の泡の発生のからくりについて、米スタンダード大学の化学の教授が論文を発表しています。ビールの泡について書かれていますが、同じ仕組みです。興味がある方はこちらをお読みください(英文のみ)。
瓶の傷に限らず炭酸水に何か異物が混入すれば、傷の場合と同じからくりでその異物に二酸化炭素の分子が集まって来ます。
これで、何故レーズンに次々と泡が集まって来たのか理解できますね?
レーズンという異物が炭酸水に加えられたことによって、レーズンの表面に二酸化炭素の分子が集まって来て泡を作っていた、という仕組みです。
そして、この集まった泡たちは、レーズンの浮き輪の役割を果たします。
これが、浮力と呼ばれる力です。
小学生を対象にした実験なので浮力の詳細説明は割愛しますが、お子さまにプールに入ったときに浮き輪がどんな役割を果たしてくれるかを思い浮かべてもらえば、浮力の働く向きを理解してもらえます。
レーズンを加えたばかりの頃は、泡が小さくて量も少ないのでレーズンは沈んだままです。
小さすぎる浮き輪だと、大きな体は浮きませんよね?
時間が少し経つと泡が大きくなり、数も増してレーズンは上昇して行きます。
レーズンが水面に到達すると、泡がはじけ、二酸化炭素は気体になって空気中に出て行きます。
「浮き輪」役であった泡がなくなったレーズンは底に沈みます。
そして再び二酸化炭素の分子が集まって来て、同じサイクルを繰り返します。
炭酸水の炭酸(二酸化炭素)が全て空気中に出て行くまで、このサイクルが続きます。
つまり、炭酸水が炭酸ではなくただの水になった時点で、レーズンの動きが完全に止まる、ということですね。
バリエーション
①炭酸水の代わりに「重曹+酢」を使用する
重曹とお酢を混ぜて科学反応させると、二酸化炭素が発生します。炭酸水を使う代わりに、重曹とお酢で同じ実験を行ってみましょう。
手順:
1.水をグラスの半分まで入れ、重曹を小さじ1杯入れる。
2.重曹を良く混ぜて溶かす。
3.レーズンを6・7粒加える。
4.液体量が合計でグラスの4分の3くらいになるまでお酢をゆっくりと加えて行く。(グラスの容量や重曹の比率によっては、液体が吹きこぼれるので注意)
5.レーズンの動きを観察する。
②レーズンの代わりに塩やお米、小さくしたマシュマロなどを加えて、結果を比較する
③様々な炭酸飲料を使用し、結果を比較する
④炭酸水を冷やし、レーズンとの温度差をつけて(レーズンは常温)当実験を繰り返し、結果を比較する
コメント
実験自体はとてもシンプルですし、子供たちも存分楽しんでくれる実験なので、かなりオススメです。
実験考察で最も重要となる「なぜこうなったのか?」の答えは、お子さまの年齢によって理解度が変わるので、適度に調節して下さい。
また小学校中学年以上であれば、是非バリエーション欄に挙げた方法でも同実験を行ってみて下さい。お子さまの科学好きが更にパワーアップするチャンスです (*¨)
それでは、楽しい実験時間をお過ごしください☆