【保存版】失敗しない葉脈標本の作り方☆1日でできる自由研究課題

クリスマス前のある日、「クラスの子供たちと葉脈標本を使ってクリスマスカードを作ろうかなぁ」とふと思いたって、ざっとインターネットで情報を探しはじめた私。
「ん?重曹?
科学室でビーカーとガスバーナーを使った記憶があるけれど、あの水溶液はそういえば何だったんだ?
手袋をした記憶があるから重曹だとは思えないけどなぁ…」
と、小学校の理科の授業の葉脈実験を思い出そうとしたものの、不思議な感動を覚えた実験だった、ということしか思い出せません…
その上、工程がそんなに複雑だった記憶は皆無なのに、インターネットで見つかる情報はいたってバラバラで、若干、情報量に圧倒される始末(複数の言語で検索)。
加えて、日本や北アメリカ大陸であれば、葉脈標本作りに適する木のリストがインターネットで見つかりますが、南米大陸の木の葉の情報は一切ありません。
そういう訳で、せっかくなので科学実験を兼ねて葉脈標本の作成を3通りの方法で進め、その結果をまとめてみました。
葉脈標本は、別名「スケルトンリーフ(直訳:葉の骨格)」とも呼ばれ、科学実験だけではなく、おしゃれな装飾品にも使われています。
是非この機会に美しい葉脈標本作り / スケルトンリーフ作りに挑戦してみて下さい☆
◆目次【本記事の内容】
子供と楽しむ簡単な自由研究・工作:葉脈標本(スケルトンリーフ)
3通りの葉脈の取り出し方を比較
英語 | Baking soda(ベイキング・ソーダ) |
科学名 | 炭酸水素ナトリウム |
化学式 | NaHCO3 |
利点 | 子供たちと一緒に使うのに安全 |
欠点 | 時間がかかる、失敗する確率が高い |
手順 |
※アルミ鍋は使用しないこと。化学反応で鍋が真っ黒に変色します。 |
考察 | 重曹を使って葉を煮ること2時間。
葉に何も変化がおきないどころか、葉がどろどろになってしまった。 さらに堅めの葉でやり直したものの、2時間半たっても何も変化がないため、重曹はあきらめた。 |
英語 | Washing soda(ヲォッシング・ソーダ) |
科学名 | 炭酸ナトリウム |
化学式 | Na2CO3 |
利点 | 重曹があれば家庭で簡単に炭酸ソーダが作れる |
欠点 | 失敗することがある |
手順 |
※アルミ鍋は使用しないこと。 |
考察 | 重曹をフライパンで加熱して作った炭酸ソーダを使ってみたが、1時間半経っても何の変化もなし。液に一晩つけて放置してみたが、やはり変化なし。
重曹の加熱が十分ではなかったのかと思い、今度はオーブンに重曹を入れること1時間。同じ作業を行ったが、やはり葉に変化がほとんどない。 結果、炭酸ソーダもあきらめた。 |
↓炭酸ソーダは、自作せずに購入することも可能です。
英語 | Caustic soda(カウスティック・ソーダ) |
科学名 | 水酸化ナトリウム |
化学式 | NaOH |
利点 | 短時間でできる |
欠点 | 毒性がある(強アルカリ性)ため、入手が困難な場合が多い |
手順 |
※絶対に水溶液を沸騰させないこと。皮膚につくと皮膚が溶けます。 |
考察 | 私が小学校の理科実験で行ったのは、まさにこの方法。
道理で簡単に葉脈が取り出せた記憶が残った訳だ、と納得。 |
↓Amazonのレビュー投稿によりますと「劇物譲受書」を捺印する旨が書かれています。
以上、表の「考察」部に記した通り、我が家で行った結果は重曹も炭酸ソーダ(自家製)もダメ。
続いて苛性ソーダで試みようと村中の薬局を周ったものの、薬剤師が苛性ソーダが何かも知らない状態…… まぁ、南米大陸諸国では良くある話です。
諦めるしかないかと、家に戻りインターネットで検索をかけたら「パイプ洗浄剤を使う」という情報が!
↓こちらがパイプ洗浄液(クリーナー)
「いや、でも、日本のパイプクリーナーだし… 海外のパイプクリーナーと違うだろうし…」
なんて悲観的になっていたのですが、ありました、苛性ソーダを含むパイプ洗浄剤が!
ただし私が入手できたのは液体ではなく、フレーク状の固体。
↓こちらのパイプ洗浄剤は粉末状です。「医薬用外劇物にも指定されない」と記載されています。
つまり結論から言いますと、
苛性ソーダとして購入するよりも、パイプ洗浄剤として購入するほうが安全で確実
ということです。
と言いましても、パイプ洗浄剤も劇薬をベースに作られていることに変わりはありませんので、十分に注意して作業を進める必要があります。
ということで早速、パイプ洗浄剤(私たちの場合は固形)を使用した葉脈標本の作成手順に移りましょう。
用意するもの
- 木の葉
- 古くなった歯ブラシ
- パイプ洗浄液(濃度1~2%で良い)
- 液体状の食用色素(食紅)
- 漂白剤
- 使い捨て手袋
- 使い捨てマスク(気管支が弱いお子さまは特に重要)
- ピンセット
- キッチンペーパー
- 使い捨ての皿、数枚
↓液体色素、英語でフード・カラーリングと呼ばれます。当サイトでもセロリの吸水実験や砂糖の結晶作りなど、様々なプロジェクトで使用しています。特にウィルトン社のジェル状の液体着色料は、海外で人気がある通り、発色が良くオススメです。

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手順
- アルミ製以外の鍋にパイプ洗浄液と葉を入れる。(次項コメント欄参照)
- 弱火で10分~15分ほど煮る。洗浄剤は毒性をもつので煮立たせないこと。また、煮すぎると葉がドロドロになってしまうので注意。
- 使い捨て手袋をし、ピンセットを使って葉を取り出す。
- 十分な流水で葉を洗う。このとき、葉によってはこの時点で葉肉がかなり取れる。
- キッチンペーパーに葉を置き、やさしく歯ブラシでたたいていく。葉を破らないように慎重に。
- 葉肉がほぼ完全になくなったら、水で洗い流し、漂白剤に漬ける。
- 葉脈が白く残ったら、水で漂白剤を流す。
- 使い捨ての皿に水をはり、好みの液体状の食用色素を数滴たらす。
- そこに葉脈をくぐらせ、着色する。(次項コメント欄参照)
- 日陰で良く乾燥させ、できあがり♪
コメント
- 葉選びはとても大切です。常緑樹の葉で、ナンテン、ヒイラギ、ツバキ、キンモクセイ など、厚みがあって堅い葉が葉脈標本に最適です。ちなみに私のように温かい気候に住まれている方はマンゴーの木の葉をお試し下さい。年齢が低い子でもできるくらい丈夫です。
- パイプ洗浄剤の量は、洗浄剤の濃度や、葉の種類・枚数によって変わって来るため、ここでは分量の明記ができません。少量からはじめて、洗浄剤の比率を上げて行くことをお勧めします。試みが何度か必要になる可能性が十分にあることを念頭に進めて下さい。
- 着色は絵の具でも可能ですが、液体着色料を使用すると、デリケートな葉脈を破る心配もなく、葉をそっと溶液にひとくぐりさせただけで実に美しい染色が可能です(感想欄の写真をご覧下さい)。葉の一端だけを異なる色に染色などのアレンジも容易にできます。
感想
こちらが、細かい作業が大好きな9歳の女の子の作品。
とてもきれいに仕上がりました♪
歯ブラシで葉肉を取る時点で、半数以上のクラスメートたちが思うようにうまく行かずに放棄してしまった中、彼女は一人でこつこつと一生懸命作業を進めてくれました。
今回のクラスでは、子供たちと散策をし、自分たちで好きな葉を見つけてもらいました。
どの葉を使えば葉脈標本が出来上がるのか、かなり試行錯誤の作業でしたが、最終的には素敵な作品が数点出来上がる結果となりました。
実は通信販売などでも葉脈標本の完成品が簡単に手に入ってしまう時代です。
その中、あえて葉っぱ探しからはじめ、自らの手を使って美しく染まった葉脈標本を作り上げるのは、きっと忘れることない体験になると思っています。
是非みなさまもお試し下さい☆
ちなみに5歳の長男にとっては、やはり作業が細かすぎたようで、最後は私が完成させたようなものです。もう少し大きくなってから再挑戦します!
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